土地や建物の売買など、動きがある時には必ず発生するものに税金があります。税金といっても種類が多く、特例などもあるので分かりにくいと感じる人も少なくないと思います。
どのような税金が必要なのか、売買、贈与、相続、それぞれのケースで確認しておきましょう。
不動産売買で必要な税金
マイホームの購入や売却による住み替えなどで必要となる税金は、売主と買主では税金の種類が異なります。その中で共通する税金に「印紙税」があります。印紙税は売買契約書に収入印紙を貼る形で納付します。
例えば契約金額が5,000万円超~1億円以下の場合、印紙税は原則60,000円必要ですが、平成30年3月31日までは軽減措置により半分の30,000円です。
売主のみにかかる税金
不動産を売却することで利益が出ると、譲渡所得になるので「譲渡所得税
が発生し、この譲渡所得に対する「住民税」も必要です。
総収入金額から取得価格に設備費や改良費を足し、減価償却した分を差し引いた取得費と譲渡費用を差し引いた金額が課税対象です。
さらに譲渡した不動産をどのくらい所有していたかで税率は異なり、5年を超える長期保有だと20.315%、5年以下の短期保有なら39.63%です。
また、マイホームなど居住用不動産を譲渡した際、特別控除の適用要件を満たすことで3,000万円まで譲渡所得分が控除されます。
買主にのみかかる税金
建物の購入代金に対する「消費税」、さらに土地建物ともに不動産の引渡しと同時に行う登記にかかる「登録免許税」、そして不動産取得数か月後にかかる「不動産取得税」があります。
不動産取得税は平成30年3月31日まで軽減特例が設けられており、土地と建物の税額は通常であれば固定資産税評価額×4%で計算しますが、特例で土地と住宅は×3%(住宅以外の家は×4%)が適用されます。
宅地の課税標準額は固定資産税評価額×1/2ですが、新築住宅とその敷地、中古住宅とその敷地、認定長期優良住宅など、それぞれに軽減特例が設けられています。
不動産の贈与にかかる税金
不動産の贈与時には、贈与を受ける側に「贈与税
の納税義務が生じます。贈与税は基礎控除額110万円があるので、この額を差し引いた額に対して課税されます。
ただし、夫婦間で居住用不動産や購入資金の贈与が行われた場合には、基礎控除110万円に合わせて2,000万円まで控除できる特例もあります。配偶者控除という特例ですが、夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後で贈与が行われたなどの要件があります。
また、子が居住用不動産を取得する時に、父母または祖父母等から資金を贈与してもらった時には、一定限度額が非課税になる住宅取得等資金の贈与の特例が平成31年6月30日まで利用できます。
登記の際には売買の時と同じように、登録免許税と不動産取得税が必要です。
不動産の相続にかかる税金
平成27年1月1日以後の相続から、「相続税」の基礎控除は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。相続財産がこの式で算出した基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要です。
敷地が小規模宅地等の特例の適用要件を満たせば、土地の評価額を減額できます。
なお、相続の場合には、登記の際に登録免許税はかかりますが不動産取得税はかかりません。
譲り渡し方で税金の種類は異なる
このように不動産をどのような形で次の所有者に渡すかによって、かかる税金の種類は異なります。それぞれ適用される特例なども異なりますので、内容を把握しておくと良いでしょう。