日本の人口が減少している背景にある中、国土交通省は全国で増え続ける空き家問題に対応するため、市町村の役割を強化する新たな制度導入を検討しています。
その内容は、積極的に市町村が空き家情報を収集し、売買や転用に対し仲介する役割まで担うというもの。さらに買い手側の税優遇も検討しています。
現在誰が所有者なのか不明の空き家も多いという実情を踏まえて、個人や世帯の情報などを掴みやすい行政が主導となって空き家問題解消に繋げる考えです。
現在の空き家状況は?
日本の住居の約14%を占める空き家は、約820万戸あると考えられています。中でも気になるのは、所有者が不明なものや破損がひどく活用できないと予想される空き家が272万戸あると言われていること。
野村総合研究所が予測する2030年代の空き家の割合は30%超で、所有者不明の空き家の所有者を特定する作業に急いで取りかかる必要があります。
所有者不明の空き家の転用促進
空き家情報を収集する機能はあっても所有者不明なものは放置されたままですので、新制度により各市町村に専用組織を設け行政が関与していくことが強化されます。
具体的には空き家情報を一括して収集し、売りたい人と買いたい人を仲介するという形です。まちづくりの計画に組み込んだ処理が行えるように、公園や集会所など地域コミュニティースペースに転用することも促進されます。
税制上の優遇措置も
市町村の役割を強化する新制度の内容とは、来年の行われる通常国会で「都市再生特別措置法」の改正案を提出し新制度を設けるというもの。それによって各市町村に空き家や空き地の利用を促す対策を進めるように促します。
税制上も新しく対応が検討され、2018年度の税制改正要望に空き家の流通や取得に関わる税を優遇する措置を設け、特に買い手に高い恩恵が受けられるような措置が盛り込まれるようです。
優遇措置の内容は、売買の際の登録免許税と不動産取得税が軽減される内容ですので、買い手にかかる税負担を軽くすることで売買意欲が高まることが期待されます。
空き家減少に貢献できる制度となるのか?
市町村は「空き家バンク」など情報公開は行っていますが、利用する人は空き家を売買したい人だけなので、所有者不明な空き家や危険な空き家など、放置されたままの空き家問題が解消することには繋がっていないのが現状です。
2025年度には空き家数を400万戸程度に抑える考えのようなので、今後対策が強化されれば、空き家周辺の安心で安全な生活が守られるようになるかもしれません。