空き家等対策特別措置法が施行され、全国の市町村では所有者の代わりに行政が適正管理に向けて取り組みを行う「行政代執行」が可能となりました。
放置されているゴミの撤去、道路を越境する木の枝の伐採、そして危険な空き家の解体も行政代執行に含まれますが、実際に空き等の適正管理に関する条例に基づいての行政代執行は全国でも例が少ないようです。
いずれは税金同様に回収されることに・・・
所有者は空き家を適切に管理する事が必要ですが、その管理がなされない場合には「特定空き家」に指定し、行政代執行によって強制的に解体される可能性があります。
行政代執行にかかる費用は税金ですので、税金と同様に所有者に対して回収が行われます。税金を支払わなければ、対象となる人の所有する不動産など資産は差し押さえられてしまいます。
費用を負担することは免れなくなるので、そうなる前に適切な管理により空き家を所有し続けるのか、売却などで手放すかを決める事が必要になるでしょう。
実際の行政代執行の事例
実際に行政代執行が行われた例がいくつかありますのでご紹介します。どの様な形式で行われたのか、掛かった費用などを参考にしてみましょう。
・神奈川県横須賀市
2015年10月に、全国初の空き家等対策特別措置法に基づく行政代執行が行われました。この行政代執行は所有者が特定できないケースで、略式代執行にて行われました。建物は木造一戸建て、かかった費用は約150万円程度です。
・大分県別府市
2016年2月に大分県初の行政代執行が行われました。木造アパート(住居件店舗)に対して掛かった費用は約510万円程度です。
・奈良県桜井市
2016年1月に実施された危険老朽空き家の解体は、空き家等対策特別措置法に基づいたものではなく建築基準法に基づいたもので、かかった費用は約250万円程度です。
・鳥取県鳥取市
2016年11月、空き家対策特別措置法に基づいて略式行政代執行により県内初の建物解体が行われました。所有者の所在は不明の木造平屋の倉庫で築約50年、2年くらい前から市道側に傾いている危険な状態だったようです。費用は約70万円とのことで、所有者の所在がわかり次第請求する形になる様です。
かかった費用は回収できるかも問題に
このように行政代執行により空き家が解体されない様にする事が所有者には求められますが、実際に行政代執行で解体がされた後も、その費用についての問題もあるようです。
問題になる管理不全物件は、資力がない所有者の物である事が多いので、解体後に費用を請求しても費用を出す意思がないケースや、出せないケースも存在する様です。
しかし木造建物一個につき100万円や200万円という費用を自治体が負担するのは重すぎます。今後は所有者が元気な内に、いずれ訪れる、相続や家の管理について考えておく必要があると言えるでしょう。