家やマンションなど所有する場合、毎年「固定資産税」という市町村税を支払う必要があります。さらにその不動産が都市計画区域内であれば「都市計画税」も同様に支払うことになります。
この不動産を売却する際に、これらの税金は精算することが必要になると思いますが、これは一体どのようなことでしょう。
売却物件の固定資産税の納税義務者は誰?
毎年支払っていた固定資産税や都市計画税などの税金の支払いに関しては厳密にルールが定められています。その1つとして「納税義務者」という概念があり、これは実際に税を負担する人を指しています。
固定資産税や都市計画税の納税義務者は、その不動産を1月1日現在に所有している人になりますが、例えば年の途中で売却した不動産であっても納税義務者は1月1日に所有者だった人です。
しかし年の途中で所有者が変更されているのに、1年分の税金を不動産売却前の所有者が負担するのは不公平です。
このような不公平さを是正するため、民間取引で使われる手法として「固定資産税・都市計画税の精算」があります。
起算日の違いで額が変わる?
ただし清算する場合、起算日によって双方が負担するべき税金の金額が変わってしまいます。
例えば4月30日に売り渡した場合、起算日を1月1日にすると売主の所有期間は1月1日から4月30日までの120日です。売主は120/365分の税を負担すれば良いことになるでしょう。
では起算日を行政の年度に合わせた4月1日にして計算すると、売主の所有期間は4月1日から4月30日までの30日です。そうなると30/365が売主の負担になります。
1月1日と4月1日はどちらが正解?
起算日の違いで負担する額が変わることになりますがどちらが正解というものはなく、そもそもこの精算方法は民間取引で便宜上作り出された方法であり、法律で規定されているわけではありません。
税法上の1月1日現在の所有者という部分に準拠するなら1月1日が起算日になるでしょうが、行政の年度に準拠すれば4月1日が起算日になります。
固定資産税等の支払通知が送付されるのは4月1日以降ですので、どちらが正しいのかを明確に決めることはできません。
そのため売主と買主の双方が合意することで基準日を決めることになりますが、固定資産税と都市計画税の精算における取り扱いは契約書上で明記しておくようにしましょう。
売却後の税金トラブルを回避するためには?
物件を売却する際に固定資産税と都市計画税はどのように清算するか、取り決めることが必要になります。
当事者同士納得した上で精算について取り扱いを決めても、税法上の納税義務は1月1日時点で所有している人になります。
売り渡しの際に売主が代表して一括納付しておき、何らかの方法で買主からその分を徴収するという形のほうがトラブルはなくて良いでしょう。