人が亡くなり財産を相続や遺贈で取得すると相続税が課税されます。個人の間で資産格差を調整するために、一定金額を超えて財産を取得すると一定額を相続税として支払う必要があります。相続税は被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に申告・納税することが必要です。平成27年から相続税が改正となり、税金対策として贈与を検討する人が増えつつあります。
住宅購入の際に親から資金を受けた場合
例えば住宅を購入するための資金を両親などから贈与として受け取ると、「相続時精算課税制度」もしくは「住宅取得等資金の非課税制度」といった贈与税の特例制度の適用を受けることが可能です。
・相続時精算課税制度
住宅取得資金の贈与の場合、「相続時精算課税制度」か「相続時精算課税選択の特例」のどちらかを選択できますが、どちらも相続税と贈与税を一体化させた課税方式になっています。相続時に精算することが前提となっており、将来親から子への生前贈与を行いやすくなります。贈与の額が非課税枠を超えた場合の税率は一律20%となります。贈与税については、相続時に贈与財産を相続財産に加算して算出した相続税額から控除されます。なお、贈与税額が相続税額を上回れば還付となります。
・住宅取得等資金の非課税制度
両親や祖父母などから住宅取得資金の贈与を受けた場合、一定金額が非課税になります。平成29年度中に契約を締結した場合には、最高1,200万円が非課税です。住宅取得等資金の非課税制度は、単独でも相続時精算課税制度と組み合わせることができます。非課税となるのは「非課税枠(1,200万円または700万円)+(基礎控除110万円または相続時精算課税2,500万円)」です。相続時精算課税制度と組み合わせた場合、平成29年中に契約を締結すると最高3,700万円まで非課税です。
その他の贈与の特例とは?
他にも教育資金の一括贈与の特例などもあります。平成25年4月1日~平成31年3月31日までの間に金融機関等との契約に基づいて、両親や祖父母などから教育資金として贈与を受けた場合に1,500万円までの贈与税が非課税になります。また、結婚や子育て資金の一括贈与の特例という制度もあり、平成27年4月1日~平成31年3月31日までの間で金融機関との契約に基づいて、両親や祖父母などから結婚・子育て資金として一括贈与を受けた場合に1,000万円まで贈与税が非課税になります。
活用できる制度を利用して節税対策を
相続税が改正されたことで、生前に贈与することを検討する人は増えています。特に住宅を購入する際には大きなお金が必要となりますので両親などに資金を援助してもらう際には先に述べたような制度が活用できることを知っておくと良いでしょう。