大きな社会問題となっている空き家が増え続けること。
この大きな問題は、空き店舗や空きビル、空き事務所に空き倉庫などの遊休不動産を生むことに繋がっており、日本にとってかなり重要な課題だと認識しておく必要があります。
そこで今、既存建築物の「用途変更」を行うことが注目されています。
住宅の使い道を変更することで活用が可能になれば住宅総数自体を減少させることに繋がりますが、例えば「民泊」など簡単にできるのでしょうか。
用途変更は勝手にできない
ただし用途変更は確認申請や確認済証の交付などが必要なので、勝手に住宅以外の用途に変更することはできません。
新築や増改築の時のような工事完了後の検査は必要ありませんが、工事完了後4日以内に建築主事に届出を行う必要があります。
なお、確認申請自体が不要になる用途変更も多いので確認しておくと良いでしょう。
確認申請が不要なケースとは?
専用住宅、長屋、事務所、神社、寺院、銀行、市役所などは非特殊建築物なので、同じく非特殊建築物に用途変更する場合には確認申請は必要ありません。
一戸建て住宅を事務所にする場合や、その反対への用途変更は確認申請の手続きは不要です。
飲食店や物販店など特殊建築物を住宅・事務所など非特殊建築物に用途変更する場合も、面積に関係なく確認申請は不要です。
また、「建築基準法施行令第137条の18」で定められた劇場や映画館などの特殊建築物の「類似用途」同士での用途変更も確認申請は必要ありません。
しかし「類似用途」には飲食店が含まれていませんので、飲食店を物販店に変更する場合には適用されないことに注意してください。
用途変更前に確認申請が必要なケース
変更後の用途が類似用途ではない特殊建築物の場合に確認申請が必要です。
何が特殊建築物に該当するかを判断するには、専用住宅や長屋、事務所以外の建築物と考えておき、共同住宅も特殊建築物に含まれると理解しておきましょう。
用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合が該当しますが、満たない床面積の用途変更を行う場合には、特殊建築物の場合でも確認申請は必要なくなります。
確認申請が不要でも法律や自治体の条例には注意が必要
ただし確認申請が不要な用途変更の場合でも、変更した後の建築物には用途に応じた法律や自治体の条例などが適用される点は理解しておきましょう。
新築することが認められない用途の建物に変更することはできませんし、規制に適合する改修工事を行う必要も出てきます。
民泊に利用する場合は?
なお、近年の訪日客の急増で宿泊施設が不足している対策として「民泊」が注目されています。
空き家活用策として「民泊」を!と、考える方向も大きくなっているようですが、現状では大半の地域で旅館業法の適用を受けることになります。
用途はホテルや旅館の特殊建築物なので、民泊に提供する部分の床面積が100㎡以下であれば確認申請は必要ありません。
しかし色々な法律の規定を守る必要があるので、ホテルや旅館が認められる第一種住居地域から準工業地域の用途地域なのかを確認しておきましょう。
空き家なら簡単に民泊にできるわけではない
また、旅館業法や自治体の条例によっては、学校や児童福祉施設などからの距離が一定範囲内の場合、ホテルや旅館の立地を認めていないというケースもあるのでやはり確認が必要です。
排煙設備や非常用照明設備の設置、耐火性能や廊下幅の確保など、規定の有無についても同時に確認しておきましょう。
空き家なら簡単に民泊にできる訳ではありませんので、法整備の内容に注意しながら進めていく必要があります。