近年社会的問題となり世間を騒がせている空き家の存在は、賃貸として活用するのか、それとも売却した方が良いのかなど、所有者を悩ませる問題となっています。
では使わないので売却する事を検討する場合、なるべく税負担を軽減できる制度などを確認してみましょう。
相続した空き家を売る時の特別控除制度
相続した空き家・土地を売却した場合には、譲渡所得3,000万円までであれば非課税となる特別控除制度が設けられています。
譲渡所得は物件の売却価格から、土地や家屋の取得費用と取り壊し費用などを差し引いて算出したものです。税率は20%程度のため、最大で特別控除が適用された場合には600万円節税する事ができるでしょう。
・特例適用には期間の要件がある
ただしこの特例は、2013年1月2日以降に発生した相続である事、売却は相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに行う事、特例適用期間である2016年4月1日から2019年12月31日までの間に行う事といった要件が設けられています。
例えば2014年1月2日に相続したケースでは2017年12月31日まで、2016年1月2日に相続していれば2019年12月31日までに売却する事が必要です。
・亡くなった人の生活の本拠であったことが必要
また、その空き家はそもそも亡くなった人(被相続人)が一人で住んでいたものであるなどの要件もあります。
仮に老人ホームに入居していたので住民票も移動させていたというケースなどは空き家で相続したとしても特例を適用させる事はできませんし、家を人に貸していたという場合も対象外です。適用要件についてはしっかりと確認しておきましょう。
・相続の時に共有名義にする時には注意
複数の相続人が不動産を相続する場合にはなるべく共有名義にしてしまうと、売却価格や時期を巡る意見の食い違いでトラブルになりやすいと言えます。
ですがこの特例は共有名義で相続して売却すると、それぞれの相続人が3,000万円の特別控除を受ける事ができますので、仮に兄弟2人が共有名義にすると相続人全体で6,000万円までの特別控除を使う事がきます。
ただし注意したいのは相続人全員が建物と土地の両方を相続する必要があるという事で、相続人が子供2人のケースで、土地は2人の共有名義なのに家屋はいずれか一方の名義にしてしまうと特例が適用されるのは土地と家屋どちらも名義になっている相続人のみです。
・譲渡対価額の合計が1億円以下である事も必要
また、 譲渡対価額の合計額が1億円以下(共有の場合は合計1億円以下)である事も要件とされています。
共有名義にした場合、売却する時期は異なっても良いですが合計して1億円を超えれば共有名義人すべて控除が適用されませんので注意しましょう。
いつ建てられた家なのかも確認を
さらに1981年5月31日以前に建てられた家であるという要件もありますが、1981年6月から建物の耐震基準が変わっていますので売却するなら新基準を満たす修繕が必要です。
リフォームしないなら空き家を取り壊して更地にするなど、どの様な方法が良いかを確認しておく必要があるでしょう。
支払う税金はなるべく抑えたいと思うものなので、しっかりと検討が必要です。