不動産が競売される時の物件の売却基準価額をみた場合、市場価格と比較すると平均で4~5割程度安く設定されているようです。
競売物件はこの安さが魅力ではありますが、なぜ安いのか、問題がある物件なのか事故などが過去にあったのかなど理由が明確化されていないことで購入を躊躇するケースもあるようです。
しかし競売物件が安いのは問題がある物件や事故があった物件だからではありません。評価は不動産鑑定士により実施され、安く設定されている理由は別にあります。
競売物件の売却基準価額が決まるまでの流れとは?
売却基準価額については民事執行法で規定があります。
第60条を見ると、執行裁判所が評価人の評価に基づいて不動産の売却基準価額を定めること、必要がある場合は売却基準価額を変更すること、買受けの申出額は売却基準価額からその10分の2相当額を控除した買受可能価額以上であることが定められています。
評価人に該当する人が不動産鑑定士で、鑑定結果により算出された評価価格(積算価格と収益価格を勘案して算出)とその過程が記された評価書を基にして裁判所が売却基準価額を決定するといった流れになります。
一般市場で流通する不動産の売買との違い
通常不動産を購入する場合には、対象となる不動産の売主と不動産会社が瑕疵の保証や物件引渡し手続きなど、購入する側の便宜がはかられます。
しかし競売物件の場合にはこのような不動産売買で発生する買主の権利が適用されません。そのため市場評価よりも3割減額し、市場競争力を高めるような仕組みになっています。
さらに競売物件の評価価格は、不動産鑑定士が積算価格と収益価格を勘案して算出しますが、積算価格は土地評価に公示価格、建物評価は経年減価で算出しています。
そのためマンションだと市場評価の7~8割になるケースが多く、これに競売市場修正で3割程度減価されるため結果として売却基準価額は市価の4~5割になると考えられます。
買受可能価額の規定も価格に影響
先に述べた民事執行法によると、競売物件への入札は売却基準価額からその10分の2相当額を控除した買受可能価額以上であることが定められています。そのため売却基準価額の8割以上の額であれば入札できるということになります。
そもそも売却基準価額は市価の4~5割減額された額になっており、さらに2割低く入札できるため仮に買受ができるぎりぎりの価額で落札ができれば市場価格の半値以下で買うこともできるでしょう。
上手くいけばかなり得をする?
不動産価値が高く見込まれる物件はそのぎりぎりの価格で落札することは難しいでしょうが、市場価格よりは格安で入手することができる可能性が高いと言えます。
適切な入札額を決めることができることがポイントで、上手くいけば得をする物件の入手方法だと言えるでしょう。