不動産などを購入した場合、その年で一括して購入費用を経費として計上せず、何年かに分けて計上することが必要です。この仕組みが減価償却ですが、何年に分ければ良いのかは耐用年数によります。
企業であれば、備品や設備なども減価償却資産の対象ですし、不動産投資している場合も減価償却することになります。
中古マンションを購入して不動産投資を行う場合、どのような形で減価償却していけば良いのか確認しておきましょう。
減価償却の対象は建物部分だけ
不動産を減価償却する時に、注意しておきたいのは対象になるのは建物部分のみということです。
減価償却とは使用に伴い価値が減少する分を、費用として計上していく手続きです。そのため、土地は使用に伴って価値が減少するとは考えにくいため、減価償却の対象にはなりません。
建物部分は、建物と建物付属設備に分けて計算しますが、取得価額と耐用年数、用いる減価償却方法を理解しておくことが必要です。
中古物件の耐用年数の算出方法
中古マンションを購入した場合、耐用年数は事業の用に供した時以後、使用できる年数(残存耐用年数)で考えることになります。
その時には、一般的に次の算式を用いて算出します。
□残存耐用年数の算式
法定耐用年数が全て過したものは「法定耐用年数×20%=残存耐用年数」で計算します。
法定耐用年数の一部を経過したものなら「(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)=残存耐用年数」で算出しましょう。
年数に1年未満の端数があれば切り捨てます。さらに2年に満たない場合は、2年とします。
□償却率の確認方法
なお、償却率は減価償却資産の償却率表を用いて確認します。償却方法ごとに耐用年数に応じた償却率の定めがあります。
築10年の中古マンションを購入した場合は?
例えば鉄筋コンクリート造で築10年の中古マンションを購入した場合の耐用年数や償却率について確認していきましょう。
マンションが鉄筋コンクリート造の場合、法定耐用年数は47年です。
築10年ということは経過年数10年になるので、上記の算式にあてはめると、
「(47年-10年)+(10年×20%)=39年」
が、建物の耐用年数になります。
また、減価償却方法には定率法と定額法がありますが、建物の減価償却方法は定額法を用いることになります。
建物設備の場合は、定率法と定額法のうち、いずれかの償却方法を選ぶことが可能です。
中古物件の耐用年数に注意!
減価償却の考え方は、費用を分割により均等化する意味と、資産を評価する意味があります。中古物件の場合、耐用年数を間違いやすいので注意して計算するようにしてください。