相続によって受継ぐ相続財産には、預貯金、株などの有価証券、不動産、借地権、売掛金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産も含まれます。
例えば普通預金に現金がある場合には、残高そのものの価値を表します。相続財産は時価で評価することが原則ですが、土地や家屋、借地権などは特殊な方法を使って評価することになりますので確認しておきましょう。
土地の評価方法とは?
土地を評価する方法には種類があり、それぞれによって内容が異なります。市街地の宅地では路線価方式、郊外の宅地や別荘地、農地や山林などは倍率方式、市街地周辺の雑種地や農地、山林などは宅地比準方式で評価を行うことが一般的です。
それぞれどのような算出方法かは次のとおりです。
・路線価方式
1区画ごとの宅地に面する路線に対する地価公示価格の約8割である路線価を基準に、宅地の形状などに合わせて価額を修正していきます。
相続税評価額=1㎡当たりの評価×地積(登記簿の地積を使用。実測と異なる場合は実測の地積)
・倍率方式
地価公示価格の約7割である固定資産税評価額に対し、国税局長が定める倍率を掛けて算出します。
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率(国税局長の定めのもの)
・宅地比準方式
対象となる土地を宅地とした評価額から、宅地転用に必要な造成費などを差し引いて算出します。
特例が適用されれば減税対象に
なお、相続した土地や借地権が、居住用や事業用、貸付用のものの場合には、一定要件を満たすことで小規模宅地の特例が適用され、大幅な減税が可能です。
一定要件については、宅地の利用区分によって、要件や限度面積、減額される割合が異なります。
国税庁のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。
参照:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm
建物の評価方法とは?
家屋の評価の場合は固定資産税評価額で評価することになります。建築中の家屋は、費用現価を基準にして評価する事になります。
・家屋
相続税評価額=固定資産税評価額×1.0
・建設中の家屋
相続開始日までに支払い済の建設費用から、完成度合による費用現価の70%で評価します。
・貸家(一戸建ての貸家以外にも賃貸アパート、マンション、ビルも含む)
相続税評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合)
なお、借家権割合は30%で計算することが通例です。
・門や塀、庭園など
門や塀については、今建築した場合の価額から経過年数に応じて減価償却した残額の70%で評価します。庭園設備については、今調達した場合の価額の70%で評価します。
相続で受継いだ不動産については専門家に相談を
相続財産を譲り受けても、土地や建物などはどの様に評価するのか知らないという人もいるでしょう。その他の財産についても評価方法が異なるものがありますので、不明な点などは専門家に相談する様にしましょう。