不動産を相続によって取得した場合、様々な税金がかかってきます。相続税だけでなく、不動産の所有者を変更するための登記にも費用は必要になるなど、納税資金を準備しておかなければ後々大変という場合もあるでしょう。
その中で、気になるのは「不動産取得税」の課税対象となるのかという点です。様々な税金に加え、不動産を取得したことにより不動産取得税も支払わなければならないのでしょうか。
不動産取得税がかかるケースとは?
不動産取得税は、不動産を取得すれば必ず課税される税金ではありません。
ある日突然親が亡くなり、実家を相続することになれば相続税も支払わなければならないかもしれないのに、それに加えて不動産取得税まで課税されるのは唐突過ぎます。
そのため、相続で取得した不動産については課税対象でなく、不動産を購入した場合や新築・増改築した場合、他にも贈与や交換で取得した場合などが課税の対象です。
生前贈与や遺贈の場合は不動産取得税の対象?
特に注意しておきたいのが「贈与」による不動産の取得です。
元気な間に第三者に不動産を譲ることを「生前贈与」といいますが、この生前贈与は不動産所得税の課税対象です。
しかし、誰に対してどの不動産を遺贈するのか記した遺言書を作成しておけば、遺言による相続とみなされるため不動産取得税の課税対象ではなくなります。この仕組みを「特定遺贈」といいますが、特定遺贈は法定相続人が受遺者の場合、不動産取得税の課税にはならないのです。
仮に遺言書がなかったとしても、相続人は不動産を取得する権利を得るため、いずれにしても不動産取得税はかからないと定められています。
□法定相続人以外が受遺者の場合
受遺者が法定相続人以外の場合は、相続とみなされないことで不動産取得税の課税対象となります。
ただし、包括遺贈の場合であれば、相続人ではない第三者が不動産を取得した場合も、不動産取得税はかかりません。
包括受遺者は相続財産を取得する権利以外に、借金などの負債の支払いの義務も取得します。そのため、包括受遺者の権利義務は法定相続人と同様と判断できるため、法定相続人である場合もそうでない場合も、不動産取得税は非課税です。
不動産取得税は自分の意志で不動産を取得すれば課税される
そもそも不動産取得税は、自分の意志によって不動産を取得した時を課税対象としています。相続は人が亡くなることで発生するため、相続人の意志に関係なく、不動産を取得する権利と管理義務が強制的に発生します。
そのため、相続を原因とする不動産取得については、不動産取得税は掛からない様になっています。