地方の空き家が増え続けていることが問題となっている背景には、建物の下の土地に対する固定資産税の特例措置が影響していると考えられます。
家が古くなって朽ち果てていけば、壁や屋根が剥がれて落ちてきたり、倒壊したりという危険性も伴うため周囲にも悪影響を及ぼします。
そのため所有者が空き家を利活用するのか、それとも解体して更地にするのかなど選択する必要がありますが、更地にしてしまうと固定資産税が変動するため話が進まなくなっているようです。
家を取り壊して更地にすると固定資産税はどう変わる?
本来であれば、誰も住むことがなくなり老朽化した空き家なら、解体して更地にしてしまうことで管理を行う必要もなくなり、すっきりするはずです。
しかし、土地が建物の敷地になっている場合には、敷地200㎡までの固定資産税は6分の1まで引下げられ、200㎡を超え床面積の10倍までに対しては3分の1まで軽減されます。
そのことからも取り壊したい気持ちはあっても、解体することでその下の土地の固定資産税は一気に3~4倍まで増えてしまうことになり、税負担が大きくなることを懸念して放置してしまいがちです。
さらに家の解体には高額の費用負担が!
家の解体にかかる費用は、木造なら坪2~3万円くらいが目安となるため、これから使うことのない家にお金をかけること自体もったいないと感じるケースもあるようです。
更地にしての売却する予定が明確にあれば、解体にかかった費用は譲渡費用として計上されます。しかし地方の更地の需要は低いため、単なる負担金で終わってしまう可能性もあるでしょう。
解体後に資産価値が低下するケースもある
さらに解体したことによって、建築基準法で規定されている原則幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないという接道義務に抵触してしまい、再建築不可物件の扱いになれば価値も低下してしまいます。
空家等と特定空家等への分類
しかしこのままではいけないと、平成27年5月から「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、空き家全体は「空家等」、中でも早急に対策が必要な空き家は「特定空家等」に分類することにしました。
空家等は実態管理と有効活用の対象として、特定空家等は行政が是正措置を行う対象として分類されます。
特定空家等と判定される基準は、放置しておくことで倒壊や著しく保安上危険が及ぶ、また、衛生上有害である場合や景観を著しく損なうなど、周辺の生活環境保全に不適切である状態となるおそれがある状態かどうかです。
強制撤去前に自分で解体など検討が必要
特定空家等と判定されてしまえば、強制撤去となりその費用は結局所有者が負担しなければなりません。そうなる前に、自治体によっては解体費用の補助制度なども設けられている場合もあるので確認してみましょう。
補助制度の金額は自治体の予算によって異なりますが、30~100万円程度であることが多いので、全額負担しなくても良くなるはずです。