これまでは個人から中古で購入したマンションに住んでいたけれど、やはり新築物件に住みたいと一戸建て住宅を購入して転居を決めるということもあるかもしれません。例えばマンションの建っている場所が良く、水廻り等はリフォームすれば十分賃貸としてニーズが見いだせる場合には良いでしょう。確定申告の時期になると、個人から中古で購入したマンションでは減価償却費を計算する基となる建物部分の取得価額が不明ですし、リフォーム費用などもどのように取扱えば良いかわからないということもあるでしょう。

確定申告は必要?

自己所有していたマンションを第三者に賃貸として貸し出す場合、問題になるのは確定申告の必要性です。給与を1か所から受けている人の場合は給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下であれば確定申告は必要ありません。しかし実際には必要がなくても申告する人が多くいるのですが、その理由は減価償却費を経費に含めた場合に不動産所得がマイナスになることがあるため、給与所得と損益通算することで源泉徴収所得税が還付されるからです。

譲渡対価証明書の確認を

マンションなどを賃貸に転用する際の減価償却費の扱いについて考えましょう。マンションの取得価額は非減価償却資産である土地、そして減価償却資産の建物や付属設備から成り立ちます。そこでまずはこれらを分けて考えることが必要になりますが、マンションを契約した時の書類に譲渡対価が記載されていれば問題ありませんが、ない場合には販売業者に譲渡対価証明書の発行を依頼してみましょう。

消費税から逆算して計算できる?

消費税から逆算し建物部分を計算する方法ですが、消費税導入年である19894月より前の購入のもの、そして個人から購入したものは使えません。そのため国税庁が公表している新築時の標準的な建築価額表を使うか、もしくは取得時の土地や建物の固定資産税評価額の比率で按分して求めるという方法を検討しましょう。ただし建築価額表を使う場合には、新築してから中古資産として取得するまでの減価額も計算しその額を控除した金額が建物の取得価額になりますが、固定資産税評価額の比率で按分する方法であればこのような計算はしなくて良いです。

中古マンションを賃貸に転用する場合の耐用年数

自宅を賃貸物件とする場合には、自己居住用として使用していた期間の建物価値減少分が減価償却費の対象から除外されます。なお、中古で取得したマンションを賃貸物件など業務用に転用する際に使われる減価償却の耐用年数の計算は複雑で、先に新築されてから取得するまでの経過年数を求め、簡便法で賃貸物件として転用した後の耐用年数を求めることになります。

法定耐用年数は何年?

中古物件を賃貸物件として提供するための資本的支出金額が取得価額の半分を超える場合には、法定耐用年数を根拠とします。冷暖房や通風設備などの法定耐用年数は13年、給排水、ガス設備といった建物付属設備の法定耐用年数は15年になっています。建物と付属設備を区分することができれば、付属設備に関しては法定耐用年数で償却したほうが良いでしょう。

リフォーム費用の扱いは?

リフォームの費用は修繕費として費用計上が可能なもの、そして資本的支出として資産計上する必要があるものに分類されます。一般的な基準となるのは20万円未満で、その額におさまれば一括費用計上、おさまらなければ法定耐用年数で償却します。中古マンションのリフォームの場合に用いる法定耐用年数は、エアコンやバスシステムなど全てを取替えした場合は新品の法定耐用年数が採用となり、屋根や壁など建物の一部の修繕の場合は建物本体での法定耐用年数が用いられることになります。

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