相続、または遺贈で亡くなった方の実家などを相続した場合、一定要件に該当する中で2019年12月31日までに売却した場合には、譲渡所得金額から最高3,000万円まで控除することができます。
ただしこの空き家譲渡の特例を適用させるには、いくつか注意する点があるため、もし親が亡くなって空き家となる実家を売却する時など、次に説明する項目に注意してください。
相続や遺贈で家屋及び敷地のどちらも取得しているか
空き家譲渡の特例を適用させる場合、家屋及び土地を相続することが前提です。仮に相続人が2人おり、遺産分割で相続人の1人が土地の半分と建物全部、もう1人の相続人が土地の半分を相続することになったとします。
この時、土地の半分だけを相続した相続人は空き家譲渡の特例を適用させることはできません。
譲渡した資産の対価1億円以下か
亡くなった方が居住の用に供していた家屋や敷地について、取得した全ての相続人の譲渡対価の合計額が1億円以下かで判定します。
例えば、相続人が2人おり、家屋と敷地を2分の1ずつ相続した後に売却した場合には、譲渡対価の合計が1億円を超えていれば空き家譲渡の特例は適用できなくなるということです。
もう1つの例として、家は亡くなった方が所有者、土地は亡くなった方と相続人である子が1/2ずつ共有していたとします。家屋と土地を相続人である子が取得後に売却した場合、相続人である子がもともと所有していた2分の1部分の土地の譲渡分も含めた上で1億円の判定を行います。
取得費加算と空き家譲渡の特例は重複適用できない
なお、この空き家譲渡の特例と取得費加算の特例は重複して適用させることはできません。ということは、空き家譲渡の特例が適用できない部分については、取得費加算の特例を適用させることができる可能性があるということです。
例えば、相続人が2人おり、遺産分割で相続人の1人が土地の半分と建物全部、もう1人の相続人が土地の半分を相続することになった例の場合において考えてみましょう。
この場合、土地の半分を相続することになった相続人は、空き家譲渡の特例は適用されないと先に述べました。しかし、取得費加算の特例は適用させる事が出来る、ということです。
また、母屋(本宅)と離れという住宅の構成になっている場合、母屋とその敷地は空き家譲渡の特例を適用させることができます。しかし、離れ部分については適用させることはできません。ただ、取得費加算の特例は適用させることが可能です。
空き家譲渡の特例を上手く活用して節税を
空き家譲渡の特例を適用させるあたり、特に間違いやすい部分をご説明しました。ただし、これら以外にも注意しておかなければならない点はありますので、適切に特例を適用させることができる様に、間違いなく手続きを行う様にしましょう。