不動産を購入することになった時、なるべく大きく減価償却を取りたいなら売買金額のうち建物金額部分を大きくすれば良いと考える人もいるようです。
本来なら土地や建物をセットで購入する時、売買契約書に記載される金額は土地建物の合計金額になります。もしそれぞれの金額の内訳が記載されていないなら、土地と建物の固定資産税評価額で按分して考えなくてはいけません。
しかしその方法では建物部分の金額が少なくなってしまうので、建物金額をできるだけ大きくして減価償却を希望する買主にとっては悩ましいところです。
売主に交渉して金額を操作してもらえば通用する?
売買契約書に建物金額を記載しておけば、原則としてその金額が建物金額に認められることになります。そのため、売買契約書記載の建物金額を大きくしてもらえないかと売主に交渉する買主もいるようです。
しかし仮に交渉が成立したとしても、売買契約書に記載された建物金額が認められるとは限らないことを理解しておきましょう。
契約書に価額が記載していても認められないケースとは?
契約書の価額で認められないケースとして、契約当事者の通謀により、税金を回避する(脱税など)の目的で、故意に実態と異なった内容で表示している場合、または価額に特段不合理な点が認められるといった場合です。
価額が不合理だと判断されれば、売買契約書に記載されている建物金額による合意がなされていないと判断されます。
そのため売買契約書に記載されている建物金額で必ず認められる訳ではないと言えるでしょう。後で税務調査などにより発覚し、問題とならないためにも不正は行わないことが重要です。
減価償却の計算方法とは?
減価償却費を計算する時には、それぞれの固定資産ごとの法定耐用年数から求めた償却率を用いて計算します。
定率法と定額法という償却方法がありますが、定率法を選択する場合は税務署に届出が必要です。
平成10年4月1日以降取得の建物は定額法の選択が義務づけられており、平成28年4月1日以後取得の建物附属設備および構築物(アプローチや植栽など)の減価償却方法についても定額法に一本化されています。
定額法の計算式「取得価額 × 定額法の償却率 = 1年間の減価償却費
不正な取引はしないこと!
不動産を購入する際に、土地と建物がセットであれば建物の金額が大きい方がメリットは高いと考えるかもしれません。
しかし実態に伴っていない金額が売買契約書に記載されていても、それが後で問題になって余計な税金や費用を支払わなくてはいけなくなる可能性もあります。正しい取引を行うことが重要です。