相続が発生すると、誰が相続人なのか確定し、誰がどの割合で財産を相続するのかを決めなければなりません。
この時、ポイントとなるのは、亡くなった方が遺言書を残していたかという部分です。
そこで、相続が発生した時に、何に注意しておけばよいのか、そのポイントをそれぞれの項目ごとにご紹介します。
相続は遺言書の内容が優先される
亡くなった方の財産は相続により承継されることになりますが、誰が財産を相続するのかを決める時に、亡くなった方が「遺言書」を残していた場合には、遺言書の内容に従って相続手続きが行われます。
ただ、遺言書があったとしても、遺言書に記載のない財産については、誰がその財産を引き継ぐのか行方は決まっていません。
そのため、遺言書に自分の名前がないから相続できないのだ…と諦めてしまうと、遺言書に記載されていない財産の存在に気が付くことなく、損をする可能性も出てきますので注意してください。
□遺言書はあるけれど内容に記載のない財産があるケース
もし遺言書に記載のない財産がある場合には、相続人同士で「遺産分割協議」にて、誰がその財産を引き継ぐのか決める話合いを行います。
□遺言書で他人にすべての財産を相続させる旨の記載があったら
仮に亡くなった方が、自分の財産のすべてを配偶者でも子でもない、全くの他人にすべて引き継がせるという旨の内容を、遺言書に残していたとしたらどうでしょう。
それまで親の面倒を看てきた家族がいたとしても、何の財産も引き継げず、同居していた場合には、たちまち住む場所まで失うことになりかねません。
このような場合、相続人に対する救済措置として「遺留分」という制度が設けられています。遺留分は、相続人が最低限、引き継ぐことができる財産の範囲です。
遺言書に無茶だと思えるような相続の内容が記載されていたとしても、遺言書の効力より遺留分が優先されます。
遺留分を侵害された相続人は、「遺留分減殺請求」を行い、自らが相続できる財産を引き継ぐことを請求することができるのです。
遺言書に名前がなくても諦めてはダメ!
遺言書が発見されると、遺言書内に名前の記載のない相続人は、もう財産を引き継ぐことが出来ないと諦めてしまいがちです。
しかし、遺留分を請求することができますし、遺言書の中に記載のあった方を含め、相続人全員の同意があれば、必ずしも遺言書どおりに相続を行わなくてもよいとされています。
遺言書は、あくまでも財産を譲る側となる方が、自分の意思を示すために設けられた制度であり、相続人の権利を妨害するためのものではないのです。
遺言書が発見されなかった場合
遺言書が見つからなかった場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどの割合で相続するのか決めます。
法定相続人となる方、すべての同意が必要ですので、誰か1人でも欠けていれば、その協議は無効となります。
そのため、誰が法定相続人なのか、亡くなった方の生後から死亡に至るまでの戸籍謄本で確認し、確定させる手続きが必要です。
もし過去に離婚歴などがある場合、実は相続人に該当する子が存在していた!というケースもあるため、必ず法定相続人となる方を確定させた上で手続きを行うことが求められます。