例えば親が死んで相続人である子が事業を引き継ぐことになったとします。それに伴って、事業の用に供されている減価償却資産を引き継ぐことになった場合、所得計算上での資産の扱いはどのように行えば良いのでしょう。
さらに相続で支払った登録免許税等は、事業所得を計算する際に必要経費に算入することは可能なのでしょうか。
被相続人の取得時期と価額を引き継ぐ
相続で減価償却資産を引き継いだ場合、事業所得金額を計算する上で相続人は被相続人(亡くなった元の経営者)の取得時期や取得価額を引き継ぐことになります。
そのため被相続人の相続時においての未償却残高(取得価額-亡くなるまで計上してきた減価償却累計額がそのまま引き継がれます。
さらに登録免許税は2005年1月1日以降に取得した資産に対してのものは、資産取得価額に算入されるもの以外は必要経費に算入できます。
引き継いだ事業用財産の減価償却方法
相続で事業用財産を引き継いだ場合、償却方法は引き継がれませんので新たに減価償却方法の届出書を税務署に提出する必要があります。仮に届出を行わなければ定額法で減価償却費を計算することになります。
なお、建物の減価償却方法は1998年4月1日以降の相続で建物を取得した場合は定額法で減価償却費を計算することが義務づけられています。
支払った登録免許税等の取扱いは?
不動産賃貸業を親から引き継いだ場合、所有権移転登記を申請することになります。この際に登録免許税を支払うことになります。2005年1月1日以降に取得した資産については、資産取得価額に算入されるもの以外であれば必要経費に算入することができます。
農地を相続して登録免許税を支払った場合、その期間の租税公課として農業所得の経費にすることが可能です。
賃貸物件を相続するための登録免許税は、その期間の租税公課として不動産所得の経費にすることができます。
譲渡所得の計算について
譲渡所得等の計算について、相続等の際に相続人等が資産を取得するために必要な費用を支出している場合、資産に対応する金額は資産取得価額に算入されるものや必要経費に算入された登録免許税等を除いて資産の取得費に算入できます。
そのため相続で取得した資産を譲渡した時の譲渡所得を計算する際、資産を相続する時に名義変更料を支払っている場合は資産の取得費に含めることが可能です。
ただし取得費が不明なケースで、概算取得費(譲渡所得の5%)による算出を行う場合は該当しません。
専門家に相談することも必要
親から相続で資産を引き継いだ場合、それが事業用の資産であればどのようにその後処理を行っていけば良いかわからないこともあるでしょう。不明な点は専門家などに相談しながら、どのように対応すべきかを検討していきましょう。