土地や家を所有していた親が亡くなった場合、その土地や家の固定資産税はどうなるのでしょう。固定資産税の納税義務者は、その年の1月1日の時点での固定資産の所有者であり、固定資産税の支払名義を変更するには法務局で相続登記が完了していることが必要です。
相続登記が完了していない場合の納税義務者
相続登記には期限はありません。しかし放置しておくと後々面倒なことになる可能性があります。毎年1月1日の所有者が納税義務者ですので、相続登記が完了していなければ法定相続人が納税義務を負います。複数人いる場合など、誰が代表して税金を納めるかなどを届出る必要があります。
固定資産税の課税対象
固定資産税の課税対象は土地、家屋、有形償却資産ですが、日本国内以外の不動産には課税されません。市町村の条例で定めのある場合以外では、課税標準が土地は30万円未満、家屋は20万円未満であれば非課税です。
遺産分割協議がスムーズに進まないケースもある
相続が発生した場合、亡くなった人の遺言がある場合には遺言の内容に沿う形で相続を行います。遺言がない場合には法定相続人の人数や相続割合に応じた遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を取り交わすことになるでしょう。遺産の分割で他の法定相続人の同意が得られない場合には相続登記完了まで到達しない状態になります。遺産分割代金に納得しない相続人がいれば、不動産を売却する、もしくは個人の財産から遺産分割代金を調整しなくてはいけなくなります。
相続財産を売却する際の特例
相続税の申請、納付については、相続開始日の翌日から10か月以内が期限です。申告期限から3年以内の相続財産の売却は、相続税額の一定金額を資産の取得費として加算できる特例があります。申告期限から3年以内に相続財産を売却すること、相続または遺贈で財産を取得したこと、財産の取得をした人が相続税を納税していることといった要件があります。手続きを進めていく上で活用したほうが良い制度もありますが、いずれにしても相続人それぞれが納得できる方法を模索し解決していくことが必要です。
相続が発生すれば税金を支払う必要性が出てくる
土地や家の所有者が固定資産税の納税義務者です。そのためその所有者が亡くなった場合、亡くなった年の固定資産税は相続人が納税義務を承継することになります。また、亡くなった年の翌年以降の固定資産税については、相続登記が完了するまでは相続人全員が納税義務者となります。早めに登記を完了させたほうがトラブルは起きにくくなるでしょう。細かい手続きや冷静な判断が必要となり、専門的な知識が必要なケースも多々ありますので専門家などに相談しながら進めていくことが望ましいと言えます。