日本で空き家が増え続けている問題は年々深刻度が高まっている状況で、特に親が亡くなり相続が発生した時に空き家が多く発生することが多くなっています。
せっかく相続した家が使われずに空き家と化してしまうのは、税金の特例制度や人々の生活スタイルの変化、さらに不動産に求められるニーズの変化などが原因と考えられています。
固定資産税の特例措置が影響している
まず最も大きな問題として、固定資産税に適用される特例が関係していると考えられます。
固定資産税は毎年1月1日時点で家や土地などの所有者が納税義務者となりますが、当然、誰も住んでいない空き家も固定資産なので税金が課税されます。
この固定資産税、家と土地に分けてそれぞれに課税されますが、土地の上に家が建っている場合には特例措置が適用され、土地の課税標準額が評価額の最大6分の1となり税金が軽減されます。
しかし空き家を取り壊して更地にしてしまうと、この特例が適用されなくなるので負担する固定資産税が高くなってしまいますので、使わない空き家でも取り壊さずに放置したほうが節税になると考えられ、放置空き家を増やしてしまっていると言えるでしょう。
核家族化でそれぞれに住まいがある状況
次に日本では、以前のように祖父母と両親、子供が1つの屋根の下で生活することはなくなり、子供が結婚したら独立してそれぞれに世帯を持つといった核家族化が主流になっています。
そのため、実家を離れた子供が親の実家を相続しても、既に住むところがあるため実家に戻って住むということは少なくなっています。
また、地方にありがちなのが進学や就職を機に地元を離れる人が多いということで、そのまま移り住んだ地で結婚し定住することも珍しくありませんので、結果として実家は空き家になりやすい状況と言えるでしょう。
中古よりも新築が好まれる傾向が強い
そして中古物件より新築物件が好まれるという傾向が日本では根強いことや、古い家は耐震性や免震性の弱さから生活場として不安を感じる人も多いようです。
不動産業界でも新築物件の方が利益幅は大きいことから、新築住宅を販売することには力を入れても中古物件に目を向けられることが少なく、中古物件の流通市場が出来上がっていないというのも空き家を生み出す原因となっています。
特定空き家等と判定されれば・・・
しかし空き家の所有者は、放置している空き家が自治体の立入調査などで「特定空き家等」と判断された場合、空き家管理について指導や勧告を受ける対象となる点を理解しくことが必要です。
土地の上に空き家が建っていても、特定空き家等と判定されれば固定資産税の特例措置の対象からは除外されてしまい空き家を残す意味はなくなります。さらに強制撤去となれば空き家の解体が実施され、かかった費用は所有者に請求されることになるので、余計な負担が増えてしまいます。
使わない空き家は早めに売却や利活用することなど、特定空き家等と判定を受ける前に何らかの対処を検討するようにしましょう。