2018年10月、油圧機器メーカーの「KYB株式会社」は、免震・制振不正ダンパーの検査データが改ざんされていたことを公表しました。

2015年に発覚した「東洋ゴム工業」免震装置の性能を偽装していた問題に続き、またもや免震装置への信頼が損なわれた!と感じる方も少なくないでしょう。

データ改ざんの対象となる物件とは?

15年に渡り不正が続いていたとされているため、改ざんの疑いのある免震・制振装置は全国で987件、計1万928本にまで上っています。

官公庁舎など、対象となる物件70件の他に、報道されている43件の113件は公表されています。原子力発電所や東京五輪関連の施設、空港などの名前も浮上し、公表に至っていない3割近くはマンションなどであることから、どのように対応を検討していくのかが注目されるところでしょう。

交換作業はどのくらいの費用がかかる?

免震ダンパーを設置する場所は、免震ゴムのように建物の重みを支える部分ではないため、交換作業は比較的、容易にできるかもしれません。

しかし、問題となるのは制振ダンパーのほうで、こちらは壁に埋め込まれているケースもあることから、一度建物を解体し、交換などの作業を行うこととなるでしょう。

仮に建物の解体作業が必要になれば、時間だけでなく費用もかかってしまいます。ダンパーは、制振用で1本約70万円、免震用はその倍の1本約130万円という価格帯となっており、交換用の製品を揃えるだけでも100億円以上必要となるでしょう。

東洋ゴム工業の場合、交換費用は一基約500万円といわれており、累計の特別損失は1,400億円を超えています。ただ、不適合品は全国154棟に出荷していたようですが、その交換作業はまだ全体の6割程度に留まっている状況です。

倒壊の恐れはなくても被害は増える可能性大

国交省は震度7程度の地震が起きても耐えることができるとしていますが、不適合品が使われていれば揺れが伝わりやすくなり、建物自体は耐えることができても建物内の損害は広がると考えられます。

KYBが公表している今後の対応

KYBは今後、不適合品は全量交換する形で対策を進めていく方針のようですが、装置を製造・販売している子会社の生産能力は、月100本程度が限界です。

新規での受注は停止、生産能力を5倍に引き上げるなどで、交換完了は2020年9月を目指すとのことでした。

東洋ゴム工業は免震ゴムですが、KYBはオイルダンパーなので種類も異なっています。しかし、今回のKYBによるデータ改ざんの対象となる件数は、東洋ゴム工業の不適合品の6倍以上と規模が大きく、その先行きは不明といえます。

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